個人でネット販売するなら特定商取引法はどう書く? 初めて販売する人向け

特定商取引法アイキャッチ画像

「自分で作ったものを、ネットで売ってみよう」

そう思って販売サービスに登録したり、ネット販売について調べたりすると、突然こんな言葉が出てきます。

「特定商取引法に基づく表記」

急に物々しい。

「いや、私は家で作ったものを一個売ってみたいだけなんだけど……」

そう思う方もいるかもしれません。

でも、最初から難しい法律用語を覚える必要はありません。

まず知っておきたいのは、

「誰が、何を、いくらで、どんな条件で売っているのかを、買う人が確認できるようにする」

という考え方です。

この記事では、個人で初めてネット販売を考えている方向けに、「特定商取引法に基づく表記」とは何なのか、どんなことを確認しておけばいいのかを順番に見ていきます。

※この記事は、2026年9月時点の消費者庁「特定商取引法ガイド」などの公表情報をもとに、初めてネット販売する方向けに一般的な内容をまとめたものです。個別の販売方法や商品によって必要な対応が異なる場合があります。

→送料・発送・返品の書き方についてはこちら
ネットで物を売る前に決めておきたいこと|送料・発送・返品の基本

→プライバシーポリシーの書き方についてはこちら
個人でネット販売するとき、プライバシーポリシーは必要? 何を書けばいい?


「特定商取引法に基づく表記」って何?

ネット通販は、お店での買い物とは少し違います。

実店舗なら、

  • お店がどこにあるのか
  • 商品はいくらなのか
  • 商品をその場で受け取れるのか

などを比較的確認しやすいでしょう。

一方、ネットでは画面の向こうにいる相手から商品を買います。

そこで通信販売では、販売価格や送料、支払方法、商品の引渡時期、返品に関する条件、販売者の氏名・名称や住所、電話番号など、法律で定められた事項を表示することが求められています。

つまり、ものすごく簡単に考えるなら、

「買う前に知っておいてほしい販売条件と、誰が売っているのかを明らかにしておく」

ための表示です。

「法律だから怖い」と考えるより、まずは買う人が安心して判断するための情報と考えると分かりやすくなります。


個人で販売する場合も関係ある?

ここは注意したいところです。

「個人だから特定商取引法は関係ない」と一律に考えることはできません。

個人で事業を行う場合についても、消費者庁は通信販売における氏名・住所・電話番号などの表示方法を示しています。個人事業者の場合、屋号だけではなく氏名の表示が必要とされています。

一方で、「家にあった不用品を一度売った」といったケースと、商品を継続的に販売するケースを、すべて同じように考えられるわけでもありません。

大切なのは、

「個人だから大丈夫だろう」と自己判断して省略してしまわないこと。

自分で作った商品などをネットで販売していくなら、自分の販売がどのようなルールの対象になるのかを確認しておきましょう。


どんなことを表示するの?

通信販売では、販売する内容に応じて複数の表示事項があります。

初めて販売する方なら、まずは次のようなことを整理してみると分かりやすいでしょう。

確認することたとえば
誰が売る?販売者の氏名・名称
どこから売る?住所
どう連絡する?電話番号など
いくら?商品の販売価格
ほかにお金はかかる?送料など
どうやって払う?クレジットカードなど
いつ支払う?支払時期
いつ受け取れる?発送・引渡時期
返品できる?返品の可否、期間や条件、送料負担など
販売に特別な条件はある?数量制限、申込期限など

実際に必要となる表示は販売内容によって異なりますが、消費者庁の特定商取引法ガイドでは、こうした通信販売の表示事項が示されています。

こうして見ると、

「法律の文章を書く」

というより、

「自分の販売条件を一つずつ決める」

作業に近いことが分かります。


「送料は実費」だけでは十分ではない場合がある

物を発送する場合には、送料も重要です。

販売価格に送料が含まれていない場合は、送料を別に表示する必要があります。

さらに消費者庁は、「送料実費」とだけ書くのではなく、購入者が負担する費用が分かるよう金額で表示することを示しています。地域によって送料が違う場合についても、最低・最高送料や地域別送料などの表示例が示されています。

たとえば、

「商品価格 1,500円」

だけでは、

「送料込みで1,500円なの?」

「あとから1,000円くらい追加されるの?」

と、買う側には分かりません。

売る側にとっては当たり前でも、買う人にはまだ分からないことがあります。

販売ページを作るときには、この視点がとても大切です。


発送時期も決めておこう

物販なら、

「いつ発送するのか」

もあらかじめ決めておきましょう。

消費者庁は商品の引渡時期について、期間または期限を表示する必要があると説明しています。たとえば「入金確認後○日以内に発送」といった形です。

ここで無理をして、

「翌日発送!」

と書く必要はありません。

仕事や家事をしながら個人で販売するなら、毎日発送できないこともあるでしょう。

大切なのは、自分が実際に守れる条件を決めて、それを購入前に伝えておくことです。


返品についても先に決める

ネット通販について、

「通販ならクーリング・オフできるんでしょ?」

と思われることがあります。

しかし、通信販売には訪問販売などにある一般的なクーリング・オフ制度はありません。

その代わり、通信販売では返品についてどのような条件を定めているかが重要になります。

返品できるのか。

できるなら何日以内なのか。

どのような場合に返品できるのか。

返送するときの送料は誰が負担するのか。

こうした条件を、買う人が分かるようにしておきます。

消費者庁も、返品特約がある場合には、返品の可否、期間などの条件、費用負担などについて表示するよう示しています。

なお、返品条件を特に表示していない場合には、通信販売には商品受領後8日以内の返品について一定のルールがあります。

そのため、

「返品については、何かあったら相談してください」

だけで済ませず、販売を始める前に条件を整理しておくことが大切です。

返品については、別の記事で詳しく紹介します。


「特商法ページを作れば全部終わり」ではない

ここは、とても大切です。

販売サイトの下の方に、

「特定商取引法に基づく表記」

というリンクを置いているサイトを見たことがあるかもしれません。

実際、消費者庁も、ウェブサイト上で「特定商取引法に基づく表記」などと分かるリンクを設け、必要な表示へ容易に到達できる方法を示しています。

ただし、

「特商法ページを一枚作っておけば、販売画面には何も書かなくていい」

という意味ではありません。

特にネット通販では、注文を確定する前の最終確認画面にも表示が必要な事項があります。


注文確定前にも確認できるようにする

インターネット通販の最終確認画面では、消費者が契約内容を簡単に確認できるよう、主に次の6項目を表示することが求められています。

分量、販売価格・対価、支払時期・方法、引渡・提供時期、返品・解除に関する事項、申込期限がある場合はその期限です。

さらに、購入者が申込み内容を容易に確認・訂正できるようにしていない場合には、特定商取引法上の問題になることがあります。

つまり、

商品を見る

購入手続きをする

最後に「何を、いくらで、どんな条件で買うのか」を確認する

注文する

という流れです。

販売者側からすると、

「商品ページに書いてあるから分かるでしょ」

と思ってしまいがちですが、購入を確定する瞬間にも必要な情報を確認できることが重要です。


屋号だけ書けばいい?

個人で活動していると、

「本名ではなく、ショップ名や屋号だけを書きたい」

と思うこともあるでしょう。

しかし消費者庁は、個人事業者について氏名・住所・電話番号を表示する例を示しており、通称や商業登記されていない屋号だけを表示することは認められないと説明しています。

なお、一定の表示事項については、消費者から請求があった場合に遅滞なく書面や電子データを提供する旨を表示し、実際に提供できる措置を取っている場合など、省略が認められるケースもあります。

ただし条件がありますので、

「住所や本名を出したくないから、とりあえず省略しよう」

と自己判断するのではなく、自分が利用する販売サービスの仕組みや消費者庁の最新情報を確認してください。


最初に「販売条件メモ」を作ると分かりやすい

初めて販売するなら、いきなり特商法の文章を書こうとしなくても構いません。

まず、自分用のメモに、

商品:○○
価格:1,500円
送料:全国一律○○円
支払方法:クレジットカード
発送:支払い確認後○日以内
返品:○○の場合は○日以内に連絡
販売者:○○
連絡方法:○○

という具合に、販売条件を普通の言葉で書き出してみるのがおすすめです。

足りないところがあれば、

「あ、送料をまだ決めてなかった」

「発送までの日数を考えてなかった」

と気づけます。

それから必要な項目を確認し、正式な表示へ整えていけばいいのです。


MORI MORI CARTで販売するときも確認しておこう

MORI MORI CARTは、ネットショップを丸ごと作らなくても、商品ごとの販売ページを作って販売を始められるサービスです。

ただし、販売サービスを利用すれば、販売者自身が確認すべき法律や販売条件がすべてなくなるわけではありません。

何を売るのか。

送料はいくらなのか。

いつ発送するのか。

返品をどう扱うのか。

そして、自分の販売ではどのような表示が必要なのか。

販売を始める前に、一度整理しておきましょう。

MORI MORI CARTでも、初めて販売する方が迷いにくいよう、販売に必要な情報を確認しながら商品を登録できる仕組みを整えていきます。


怖がる必要はない。でも、売るなら知っておこう

「特定商取引法」

名前だけを見ると、ずいぶん難しそうです。

でも初めて販売する人が最初にすることは、法律の条文を暗記することではありません。

誰が売るのか。
何を売るのか。
いくらなのか。
ほかに費用はかかるのか。
いつ届けるのか。
返品はどうするのか。

まず、自分の販売条件をきちんと決める。

そして、その条件を買う人が購入前に確認できるようにする。

そこから始めましょう。

一個の商品を売ってみる場合でも、「売る」という行為には買う人がいます。

難しい言葉に怖がる必要はありません。

でも、売る側になるなら、知っておきたいルールがあります。

小さく販売を始めるからこそ、最初に一度だけ、きちんと確認しておきましょう。


こちらの便利サイトで無料で『特定商取引法』の雛形が作成できます

HP制作お助けGENERATOR
※運営会社モリモリLABの便利ツールです


参考:公的機関の情報

内容を実際の販売へ適用するときは、最新の公的情報も確認してください。

消費者庁「通信販売|特定商取引法ガイド」
消費者庁「通信販売広告について」
消費者庁「通信販売広告Q&A」

「決済・お金」の記事

このカテゴリーの記事をもっと読む →